Japanese
English
紹介
終末期癌患者の実存的苦痛—研究の動向
Systematic Review on Spiritual/existential Distress in Terminally Ill Cancer Patients
森田 達也
1
,
角田 純一
1
,
井上 聡
1
,
千原 明
1
Tatsuya MORITA
1
,
Junichi TSUNODA
1
,
Satoshi INOUE
1
,
Satoshi CHIHARA
1
1聖隷三方原病院ホスピス
1Seirei Hospice, Seirei Mikatabara Hospital
キーワード:
Palliative care
,
Advanced Cancer
,
Spiritual pain
,
Existential pain
Keyword:
Palliative care
,
Advanced Cancer
,
Spiritual pain
,
Existential pain
pp.995-1002
発行日 1999年9月15日
Published Date 1999/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405904845
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はじめに
近年,終末期癌患者の心理についての関心が高まり,精神科医の緩和ケアへの参加が期待されている。癌患者の苦痛を全人的に理解するために,緩和ケアでは,霊的苦悩(spiritual pain)注),すなわち,意味の喪失に基づく実存的苦痛の重要性が強調されている。欧米では,サイコオンコロジーの標準的教科書において霊的ケアが記載され,DSM-IVでは霊的苦痛を含む診断カテゴリーとして「宗教または神の問題」(臨床的関与の対象となることのある状態)が明記された21,59)。しかし,我が国では,霊的・実存的苦痛に対するケアは重要であると考えられているものの,精神医学領域において扱われることはほとんどない。今回,我々は,霊的苦痛の概念を明確にし,今後求められる研究を明らかにするために,霊的・実存的苦痛に関する内外の知見を系統的レビューの手法に準じてまとめたので報告する。
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