特別講義
看護診断入門演習の一試案―国家試験状況設定問題を利用して
堤 由美子
1
,
柴田 恭亮
1
,
鹿島 友義
1
1鹿児島大学医療技術短期大学部看護学科
pp.538-543
発行日 1993年7月25日
Published Date 1993/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900617
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
看護を問題解決の過程ととらえて,看護を行なうための具体的な計画が必要であるとする米国の考え方が日本の看護界に紹介されたのは,1950年代後半のことである.この時にはその導入はまず看護基礎教育の場が先であり,教育から臨床の現場へと普及していった経緯があった.しかし1980年代の中ごろにNANDAの看護診断がわが国に紹介され日本語の翻訳が出版されるや,この看護診断は問題志向型看護記録を採用していた病院を中心に急速に普及していった.そして今回は逆に臨床の場からの要請に応えて,遅まきながら基礎教育の場にも広まりつつあるといった印象を受けている1).
鹿児島大学医療技術短期大学部看護学科は3年課程の短期大学であるが,従来基礎看護学の課程では,いわゆる“薄井式”の記録による看護過程の教育が行なわれてきていた.しかし,臨床実習を行なう大学附属病院ではPOS方式が大勢を占めており,また卒業生が就職する病院の多くもPOSによる看護記録を採用しているために,卒業生からもPOSによる看護過程に不慣れなために苦労するという意見が寄せられたこともあって,成人看護学の領域では看護診断を取り入れたPOSによる実習記録を採用することにした.そのために3年生の成人看護学の臨床実習開始前の4月中に,集中的にPOSと看護診断の学習を行なう必要に迫られた.
Copyright © 1993, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.