特集 ビデオ教材の有効な利用法と作り方
看護過程の授業展開にビデオを活用して
倉田 トシ子
1
1川崎市看護専門学校設立準備室
pp.416-421
発行日 1992年6月25日
Published Date 1992/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900396
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一通り説明が終わって「さあ,これからビデオを写します」と言うと,授業が始まってからずーと居眠りしていた学生まで,頭をあげてくるのです.こちらが苦労して作成したビデオなのに,説明を聞いていなければビデオだけ見たってわからないのに…….なんて,文句の1つや2つ言いたくなるくらい,学生は教材としてのビデオを当然のように見るのです.生まれた時からテレビで育った学生はビデオも日常的なものなのです.
私が主に作成しているビデオは,看護過程の授業で使うためなので,1人の患者さんの生活ぶりを追っています.画像を見ながら「歩きにくそう」とか「食べにくそう」,さすが看護学生だけあって右半身麻痺患者さんの動作を真剣にとらえようとしています.上衣がうまく着られないためにもう一度始めからなんて場面では,「わぁ,大変そう」といった声も聞かれます.20分間の放映が終わると,学生は放心した表情で顔の向きを教卓に向けてきます.それだけ夢中で見てもらえたと言えるかもしれないのですが,話しだけでひきつけられない悲しさは否めません.健康で看護学生になりたての人たちにとって,右半身麻痺の患者さんの生活は想像だにできないでしょう.ところがビデオという便利な媒体は病室にいる患者さんの動きを,事細かに教室に運んでくれます.
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