実践報告
「擬似電子カルテ」を活用した授業展開―小児看護過程と学内実習での効果
福岡 真利奈
1
1報徳看護専門学校
pp.1131-1135
発行日 2020年12月25日
Published Date 2020/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201628
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はじめに
医療現場における情報通信技術の活用が進められているなかで、400床以上の一般病院における電子カルテ普及率は2002年に2.9%1)であったものが2017年には85.4%2)まで上昇し、すでに多くの病院で電子カルテが採用されている。また、前内閣は電子カルテの全国普及率を2020年度までに90%に引き上げる方針3)を掲げてきたことから、今後さらに普及が進むと考えられる。加えて、現在の医療は病院完結型から地域完結型にシフトしており、病院以外の医療現場であっても、電子カルテを活用しながら看護を行うことが必要不可欠になると推察される。
報徳看護専門学校(以下、本校)の学生が臨地実習を行っている病院においても電子カルテが導入されており、実習中の情報収集は電子カルテで行うのが主流となっている。このように、多くの学生が在学中だけではなく卒業後も電子カルテを活用し、看護を行っていくことは明らかである。しかし、看護学校で行われている看護過程の授業は、紙上事例を用いたものが一般的である。学生は電子カルテを使い慣れていないため、膨大な患者情報のなかから必要な情報をうまく取捨選択することができず、アセスメントが不十分であることが多い。
そこで、本校は電子カルテを活用して看護過程を学ぶことが学生の看護実践能力向上に有効ではないかと考え、2019年度より小児看護学で新たに「擬似電子カルテ」を導入した。加えて、2020年のCOVID-19流行拡大に伴い、学内実習でも有効活用することができている。本稿では、擬似電子カルテを活用した看護過程の授業の効果および学内実習で得た学びについて述べる。
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