NURSING EYE
戦争罹災者の国際救援活動に参加して―たかが6か月,されど6か月
伊藤 明子
1
1松江赤十字看護専門学校
pp.322-325
発行日 1991年6月25日
Published Date 1991/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663900215
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スーダンの国境から約20kmの所にあるロキチョキオの朝は,ひっそりと静まり返った空間と,澄み切った空気の中に響き渡るロバの啼き声と,井戸で水を汲むトルカナ族の人々の声で始まる.そして月夜には,トルカナ族の手拍子と歌声を子守歌代わりに眠りにつく.
ロキチョキオは半砂漠地帯にあり,目の前をひとこぶらくだがのんびりと横切り,牛や山羊の群れが人の存在など無視して歩いている.隣を行く人々は,まるで映画かガイドブックから飛び出してきたような姿である.人々は明るく,人懐っこい.兄知らぬ私たちに「アジョク(こんにちわ)」と握手を求めて来る.こんなのどかで平和なロキチョキオにも,生活の糧である家畜の奪い合いで部族間の争いがある.家畜が原因で人間の命が奪われている現実にタイムスリップした気分になる.
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