連載 臨床現場で本当に必要な薬のおはなし 教員も学生も知っておきたい「看護薬理」・12
潰瘍性大腸炎の病態・治療
大井 一弥
1
1鈴鹿医療科学大学薬学部 臨床薬理学研究室
pp.742-747
発行日 2024年12月25日
Published Date 2024/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202338
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はじめに
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は、クローン病と共に炎症性腸疾患に分類される難治性疾患であり、未だ発症原因が解明されていません。従って、根治的な治療法はなく、現今の症状をどのようにして軽快させるのかについて治療の主眼が置かれています。その治療法は、改訂を重ねてきた『潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針』(最新版は令和5年度改訂版)に準じて行われています1)。
UCの主症状は腹痛、下痢(粘血便を伴うもしくは伴わない)、体重減少のため、QOLの低下は著しく、症状の程度に応じてそれらを軽快させる治療薬選定のセンスも求められます。また、UCはストレスとの因果関係を否定できず、増悪と寛解を繰り返すことも特徴的です。
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