特集2 実践のための協同教育 学生が意見を出し、対話を促す仕掛けづくり
協同教育で創る学生と教師が共に成長する授業
緒方 巧
1,2
1日本協同教育学会
2梅花女子大学看護保健学部
pp.426-430
発行日 2024年8月25日
Published Date 2024/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202277
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はじめに
かつて、杉江修治先生は「協同学習はアクティブ・ラーニングの核である」と言われた。筆者は、2002年から取り組んできた協同学習を用いた授業(講義・演習・臨地実習)が、学生と教師を成長させることを実感していたため、この確信の一言は今も忘れられないでいる。
協同は、互いの成功と幸せを願って活動するかどうかにかかっている1)。そして、協同学習は集団の仲間全体が高まることをメンバー全員の目標とすることを基礎に置いた実践であり、学び合い・高め合い・認め合い・励まし合う学習活動2)である。そのため協同学習では、ペア、グループ、クラスで共有した目標の達成に向かって協同して取り組む互恵的な協力関係の下、一人一人に責任ある学習活動が求められる。つまり、学習活動の浮沈を共にする仲間への利他の精神と、一方、仲間が取り組んだ努力の成果にただ乗りしようとする利己主義が容認されない厳しさを併せ持つ教育方法である。従って、協同学習は、協同学習の技法を使ってグループ学習をさせるという単純な教育方法ではない。協同して学習活動を行うことで学習成果を高め、なおかつ、多様な学習仲間との価値の対立なども建設的に解決しつつ、共有した目標の達成に向けて協同できる態度と行動の体現化を育む教育である。
本稿では、協同学習を用いた筆者の授業実践をご紹介するが、紙幅にも限りがあるため、本誌の特集3)や拙書4)なども参考に加えていただき、今回は高大接続の観点から新学習指導要領が期待する授業の在り方を確認し、次に、協同学習を用いた授業(講義)時の筆者の取り組みについて、いくつか紹介したい。
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