連載 新しい医療者像を探る・2
超人としての医療者―医療者は病気にならない(なれない)?
鷹田 佳典
1
1日本赤十字看護大学さいたま看護学部医療社会学
pp.214-225
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202232
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この冬休みにいくつか本を読みました。そのうちの一冊が、栗原康さんが書かれた『超人ナイチンゲール』1)です。ナイチンゲールといえば、誰もが知る近代看護の基礎を築いた人物です。小さい頃にナイチンゲールの伝記を読んだという読者も多いのではないでしょうか。私は看護大学に勤務していることもあり、ナイチンゲールについてはそれなりに勉強しているつもりでいましたが、今回本書を通読し、あらためてその功績はもちろん、人間的な魅力というか、その熱量(はみ出し具合)に圧倒されてしまいました。しかし今回着目したいのは、ナイチンゲールその人ではなく、この書籍のタイトルに含まれている「超人」註1という言葉です。
有名なアメコミヒーローの「スーパーマン(Superman)」が典型ですが、超人とは「ふつうの人とはかけ離れた偉大な能力」や「並外れた能力」をもった存在のことを指します。スーパーマンはフィクションのキャラクターですが、医療者は、現実世界において超人として描かれることの多い職種の1つ2)註2だと思います。もちろん医療者は飛行能力や巨大化能力をもっているわけではありませんが、これからみていくように、医師や看護師はどこか常人離れした力を有した存在としてイメージされているところがあります。以下ではまず、「超人としての医師」についてみた後、「スーパーナース(supernurse)」という視点から看護師の超人的側面について確認し、最後に医療者の病気体験を手がかりに、「超人としての医療者」に代わる新たな医療者像について考えてみたいと思います。
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