連載 新しい医療者像を探る・3
完璧主義者としての医療者―医療者は完璧/完全でなければならないのか?
鷹田 佳典
1
1日本赤十字看護大学さいたま看護学部医療社会学
pp.326-336
発行日 2024年6月25日
Published Date 2024/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202256
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さまざまなテレビドラマのジャンルの一つに「医療ドラマ」があります。医療ドラマは、フィクションではあるものの、一般の視聴者の「医療者像」の形成に少なからず影響を与えます。
これまで数々の医療ドラマが作られてきましたが註1、近年放送されたものの中で特に話題になった作品の一つが『Doctor-X―外科医・大門未知子』です。このドラマは2012年に第1シーズンが放送され、以来、第7シーズンまで放映されています。その主人公が、タイトルにもある大門未知子医師です。米倉涼子さん演じる大門医師はどこの医局にも属さないフリーランスの外科医で、医師免許がなくてもできる仕事は一切しないという、通常であれば病院組織の中では到底生きていけないようなポリシーを堂々掲げる型破りなキャラクターです。ゆえに、周囲と頻繁に衝突や軋轢を起こすのですが、外科医としての腕は超一流で、その実力は誰しも(大門医師を煙たがあっている病院上層部のスタッフたちでさえも)が認めるところです。この大門医師の有名な決め台詞が、「私、失敗しないので」です。実際大門医師は、その超絶的な手技と集中力によって、不可能とされるような難手術を幾度となく成功に導きます。
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