特集 本気の授業設計―今の授業を振り返る、新たなノウハウを知る
―ゲームの理論と効果を知る!―明日から始めてみたくなるゲーミフィケーションの授業―①【導入・理論編】
古堅 裕章
1
1九州看護福祉大学看護福祉学部看護学科
pp.432-442
発行日 2023年8月25日
Published Date 2023/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202120
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「教育用ゲームの多くはチョコレートで包んだブロッコリー」
これは昔からよく言われる教育用ゲームの失敗例を示す言葉です(実際に英語で“Chocolate-covered Broccoli”と慣用的に表現されています)。チョコレートは子どもの好きなお菓子でゲームを示し、ブロッコリーは子どもの嫌いな野菜で勉強を示しています。日本ではブロッコリーよりもピーマンのほうがイメージしやすいと思います。[図1上]のように、ピーマンに直接チョコレートをかけてもおいしくはなりません。同様に、学生にとって「つまらない授業」にそのまま「ゲームの要素」を追加しても、学習効果は高くはなりません。よって、授業自体を一度分解して、適切にゲームの要素を追加して組み直す必要があります。
また、苦くてピーマンが食べられない子に対して、みじん切りにしてチャーハンに混ぜて食べさせるのは悪手です。なぜなら、小さく切り刻むことによって細胞が細かく壊れ、一層苦みが増強するからです。教育のゲーミフィケーションも同様で、素材(教材など)の特性を理解せずに分解してしまうと、より悪い事態を起こしてしまうことも多々あります。
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