特集 クリティカルシンキングは終わらない
授業にクリティカルシンキングを導入することとは
久保田 祐歌
1
1愛知教育大学教育創造開発機構大学教育研究センター
pp.457-461
発行日 2013年6月25日
Published Date 2013/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663102409
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はじめに
高等教育において,「自分の頭で筋道立てて考えて物事を判断する」というクリティカルシンキング(Critical Thinking)を学生に育成する意義は,ますます高まっている。大学において,学生が論理的に考え,情報を取捨選択して自ら判断するということは,学問を学ぶための基礎である。クリティカルシンキングは大学においてのみ必要とされるものではない。卒業後の職業生活で直面する多様な課題を解決していくうえでも必須の力である。社会のグローバル化や知識基盤社会の進展に伴い,修得した知識をそのまま再現するのではなく,新しい状況下で既知の知識を活用して問題解決できるような汎用的な技能(Generic Skills:ジェネリック・スキル)が,これからを生きるすべての人々に強く求められるようになっている。
本稿では,特に大学教育において学生のクリティカルシンキング育成が必要とされる背景と共に,大学4年間の授業で学生のクリティカルシンキングを育成する教育の方法と留意点を紹介する。ただ,前述したように,学生のクリティカルシンキングの育成は教育課程にかかわらず重要であり,これらの内容は,専門学校などいかなる教育機関での教育にとっても参考になると,筆者は考えている。
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