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はじめに
老年看護は老年者の長い生活歴と加齢に伴う生理的変化を視野にいれて、身体、心理、社会的側面を統合して理解し、QOLをふまえた援助ができることをねらいとしている。
しかし、最近では核家族化の影響から老年者と接する機会が少なく、本学科においても祖父母と一緒に生活する体験を全く持たない学生が約6割を占め、老化による変化や老年者の生活を具体的にイメージすることが困難になっている。そのため、老年看護学では老年者の理解に重点をおき、老年者の活動を紹介するVTRの視聴や老年疑似体験、さらには老年者との対話、祖父母のライフヒストリーの聴取など教育方法に様々な工夫をしているのが現状である。
老年者を理解する教育方法の一つとして、「老年期を生きることを理解するシミュレーションゲーム」がある。このゲームは前川1)らによって開発され、その有効性が報告されたのが最初(1992)で、その後佐藤2〜7)らを中心に種々の角度から教育効果について報告されている。このゲームは、老年期を理解し老年者への対応の心構えについて学習を動機づけることを目的として、身体に疑似体験装具をつけたり、出来事カードを引くことにより老年者の生活を疑似体験する。また、ゲームの進行につれて老化が進み、大切なものを失ったり自己イメージが変わったりしていく過程を体験するように工夫されている。
今回、老年者の加齢に伴う変化について実感し、心情的に老いの理解を深め老年者への対応の心構えをつくることを目的として「シミュレーションゲーム」を実施したので、その実際を紹介し、教育効果としてこの体験から得られる学習内容の範囲や体験前後の老年者のイメージ、老年者に対する態度の育成について分析した結果を述べることとする。
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