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はじめに
和洋女子大学看護学部看護学科では、2年次に「基礎看護学実習Ⅱ」の科目を設定している。「基礎看護学実習Ⅱ」では、初めて患者を受け持ち、コミュニケーションの相互作用を体験し、コミュニケーションの深まりのなかから、患者との援助的な信頼関係を築くことをめざしている。さらに、日々変化するダイナミックな患者の情報をとらえ、看護過程を用いて看護問題を明確にし、個別性ある看護ケアを実施することをねらいとしている。これらの患者との体験をとおして、看護師としての倫理観の醸成や、学習の動機づけとすることを目標としている。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、2020年度は臨地実習受け入れが中止となり、教員が模擬患者になり学内で「基礎看護学実習Ⅱ」を実施した。看護の実務経験および教育経験を有する教員が模擬患者であったため、学生への意図的なかかわりが可能であり、急な学内実習への振替であったにもかかわらず、学生の満足度は高い傾向にあった。一方で、顔見知りの教員が患者役のため、「受け持ち患者との初めての出会い」をつくり上げることが困難であった。また、教員の数に限界があり、1名の模擬患者を12名(6名×2グループ)で受け持ったため、学生からは、模擬患者ともっとかかわりたかったとの意見も聞かれた。
2021年度(2022年2月)も、新型コロナウイルス感染者の急増により、実習開始2週間前にすべての病院で臨地実習受け入れ中止が決定した。そのため、2020年度実施時の課題を考慮し、教員ではなく看護の実務経験のある模擬患者を設定、さらに1グループに対し1名の模擬患者を設定した。学内で「受け持ち患者との初めての出会い」をつくり出し、情報がダイナミックに変化するなかで「基礎看護学実習Ⅱ」を行った。本稿では、2021年度に実施した「基礎看護学実習Ⅱ」の取り組みについて報告する。
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