実践報告
日本で働く中国人看護師が体験した困難とその支援
文 艶華
1
,
中谷 久恵
2
1広島大学大学院医系科学研究科博士課程
2広島大学大学院医系科学研究科
pp.226-230
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202080
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はじめに
近年、日本では急速に進む少子高齢化に伴う高齢者人口の急増と生産年齢人口の減少により、看護人材の確保が課題となっている。厚生労働省は、日本と諸外国の経済連携協定(Economic Partnership Agreement:EPA)にもとづき、看護師不足を解消する目的で、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国の看護師候補者を対象に、2008年から受け入れを始めた1)。一方、公的な流れとは別に、民間においても外国人看護師の受け入れが行われており、日本国内のNPO法人が中国の大学などと日本の病院との橋渡し役になり、民間病院で働く中国人看護師が増加しつつある2)。
日本で働く中国人看護師は、日本の看護に母国の看護との相違点を感じながらも、日本で異国の看護を体験することを意義あるものだと感じているという報告がある3)。中国人看護師の看護ケアの水準を担保し看護の質を高めていくには、教育的支援が求められている。そこで、日本で実際に看護業務に従事した中国人看護師が感じた異文化看護の実態を把握するため、インタビューによる聞き取りを行った。インタビューで得られた、中国人看護師が日本で体験した看護の困難感や学びを報告し、日本の看護師へ求める支援、および看護基礎教育や継続教育に求める教育的支援について述べる。
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