特集 EBPと看護教育
訪問看護の現場とEBP―訪問看護ステーションとの抄読会をとおして
金谷 玲子
1,2
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻老年看護学研究室博士後期課程
2ななーる訪問看護ステーション
pp.178-182
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202070
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現場の看護師になってから感じたEBPの難しさ
私は、2020年に大阪大学医学部保健学科で看護学を専攻し卒業したのち、同年に同大学大学院博士前期課程へと進学した。博士前期課程では、自身の研究活動に加え、老年看護学研究室(以下、当研究室)と訪問看護ステーションで毎月行っている抄読会に参加し、抄読会を通じてEBPに触れ、自然と実践におけるEBPの重要性を学んだ。2022年には同課程を修了し、同年に博士後期課程に進学すると同時に、抄読会をともに行っていた訪問看護ステーションに新卒で就職した。現在は新人訪問看護師として日々、実践に取り組んでいる。
私は臨床経験のないまま修士号を取得したが、現場に出て初めて「時間がない」「業務に追われる」といわれる看護師の実態を本当の意味で理解した。時間がないと何ができないかを体感したのである。対象者に対して課題を見つけていてもエビデンスを十分に探ること、そしてそれらのエビデンスを十分に熟考し検討すること、これらができない。修士課程で学んできた「根拠に基づく実践」とは何だったのか? 本当に自分の身についていたものだったのか? 看護師として働き始めて3、4か月経った夏頃、このように考え始めた。
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