医局だより
抄読会から
藤原 二朗
1
1市立吹田市民病院内科
pp.788-789
発行日 1964年8月10日
Published Date 1964/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402200439
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「症例検討会も抄読会もしていないような病院は病院とはいえないね,診療所の集りだ」とある教授は申されたが,抄読会をしている病院としていない病院とでは,臨床に対する関心のみならずmorale(士気)までが違うように見うけられる。
しかしその抄読会も,病院によりさまざまの方法で行なわれている。大学の内科教室では大抵教室員全部の抄読会と各研究グループの抄読会とがあつて,研究グループの抄読会は研究推進上必要な,高度に専門的・直接的な抄読が多く真剣味があるが,教室の抄読会は順番がまわってきたからやむをえずやるとか,なかには文章も内容もかんたんで訳しやすいからやるなどというような例もあり,抄読する論文の選択が適切でないものや,その発表の仕方が悪いために聞いていても原著者が結局何をいわんとしているのか,訳者自身にも分っていないように思われる例もある。「論文を咀嚼し,自家薬籠中のものにしてから皆さんにお話をして聞いて戴くんだ」と恩師福島寛四教授は教えられた。また故木谷威男教授は,原稿を早口で読んでいた教室員に「阿呆だら経のようにダラダラ読んでいても皆に分らない。要点を分りやすく言え」と激しく叱られたこともある。
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