連載 臨床現場で本当に必要な薬のおはなし 教員も学生も知っておきたい「看護薬理」・1【新連載】
看護の実践に活かすための薬理学
大井 一弥
1
1鈴鹿医療科学大学薬学部 臨床薬理学研究室
pp.124-131
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202058
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連載を始めるにあたって―「看護薬理」の重要性
1 薬にかかわる看護師と薬剤師
筆者は、現在薬学部に所属する大学教員であり、薬剤師です。学部および大学院教育、基礎研究に加え、担当症例数はこれまで1003例の臨床経験も有しています。薬剤師は、医薬品適正使用を推進する視点から、小児から高齢者に至るまでライフステージに応じた処方なのか、用法・用量は妥当なのかを判断しつつ、必要に応じて疑義照会や処方提案などを行います。また、入院の場合は注射薬による治療が中心になるため、投与ルートの確認や配合変化の有無など、化学的な視点からも看護師を支援しています。
近年、臨床現場において先進的な医療が展開されていますが、相変わらず治療の中心は薬物療法です。看護師は、新旧交代していく治療薬に接しながら、患者さんが好転することを願い、治療の援助や患者ケアを実践しています。投与後の患者さんの反応をみて、薬剤の効果を確認し、異常があれば迅速に対応する役割を担うのも看護師の方々です。「患者さんをみる」という視点は看護師も薬剤師も同じですが、治療薬に対する視点は職種の違いにより多少異なると考えます。
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