Japanese
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特集 プロスタサイクリン
薬理学
Pharmacology of prostacyclin
今井 昭一
1
Shoichi Imai
1
1新潟大学医学部薬理学教室
1Department of Pharmacology, Niigata University School of Medicine
pp.845-849
発行日 1985年7月15日
Published Date 1985/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404204701
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Prostacyclin (PGI2)は,種々の血管平滑筋に作用してその弛緩を起す一方血小板凝集を強力に抑制する物質であるが,極めて不安定で,非酵素的に生物活性の弱い6-keto-PGF1αに変化する。中性では100度で15秒,22度で10分で活性を消失するが,アルカリ領域では比較的安定でpH10.5では半減期は100時間となる。37℃の血液中での半減期は3分である。様々な組織で作られるが,とくに血管系ではアラキドン酸代謝の主たる産物となっている。現在この物質には,epoprostenolという公式名が与えられている。
古典的プロスタグランジンの多くは肺循環を1回通過するとほぼ完全に不活性化される。局所ホルモンないしオータコイドと呼ばれる所以であるが,これは,肺で細胞内へ取込まれた上で15-OH-PG dehydrogenaseの作用を受けC-15位の水酸基が酸化されるためである。これに反しPGI2は肺細胞内への移行が悪く,PG dehydro—genaseによる不活性化を受けない。図1にイヌ心肺標本の静脈側と動脈側とにPGI2を投与した場合の冠血流の変化を示すが,何れのルートから投与しても反応はほぼ同程度であり,PGI2は肺循環系で不活性化されない事が良くわかる。
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