連載 臨床現場で本当に必要な薬のおはなし 教員も学生も知っておきたい「看護薬理」・7
薬理作用と副作用―鎮痛薬を主に考える
大井 一弥
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1鈴鹿医療科学大学薬学部 臨床薬理学研究室
pp.106-112
発行日 2024年2月25日
Published Date 2024/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202212
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はじめに
薬物治療は、現代の医療環境において欠かせないものとなっています。患者の状態が悪いのを好転させるためには、適正な薬物治療をいかに行うかが重要です。また、副作用の発現をさせないように、多職種が連携し合いながら患者モニタリングを行っていくことも重要になってきています。
薬を服用する患者さんにとって、副作用の発現はネガティブなものとして受け止められやすく、たとえ軽微なものであっても治療の中断を選択することもあります。そうならないためにも、看護師をはじめとした医療従事者は、薬理作用と副作用の関係について患者さんに正しい情報提供を行うことが重要です。
たとえば、がん化学療法で用いる抗がん薬は、副作用として吐き気が生じることがあります。患者さんによっては副作用が大きく発現してしまい、それが続けば治療の中断につながる場合もあり得ます。そこで、看護師は患者さんをアセスメントして吐き気に対するケアを行う、管理栄養士は吐き気のある患者さんに対する食事療法を検討する、医師は患者さんの状態や副作用の発現状態から制吐薬を処方し、別の抗がん薬や治療法も検討します。また、薬剤師は副作用の重篤化回避が期待できる薬剤を提案したり、服薬中の薬が相互作用を起こさないものかをチェックしたりすることで、患者さんの利益につながる治療の提供につながっていきます。
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