特集 今こそ新人看護師支援を 移行期に教育機関ができること
―東京慈恵会医科大学の新人看護師移行期支援―師長が語る背景と展望②
鈴木 由香
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1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター
pp.698-699
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663202011
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移行期支援が必要だと考えた背景
2019年12月中旬、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が中国・武漢から発生し、渡航歴のある患者さんの対応における注意事項が感染対策室より報告された。それから数か月で瞬く間に世界に広がり、当院でも2020年4月1日より、第1号のCOVID-19の患者さんを受け入れることとなった。コロナ病床となった病棟にも新人看護師3名が配属されていたが、当時は、感染力が強く肺炎の転帰をたどるこのウイルスに対する明確な治療法やワクチンがなく、また、ケアに必要なプロテクターなどが不足し、スタッフの安全を担保しながら患者さんを看ることの困難な状況が生じていた。医療者といえども恐怖を感じながら、しかし、そこにいる患者さんを回復させるためにできることを模索して進んでいくしかない状況であった。そのなかで、新人看護師を心身ともに安全な状況でサポートしていくのは難しいと判断し、4月半ばに他部署へ3名を異動させることとなった。
当時私は新人教育担当であったが、毎月行う新人看護師の集合教育の開催も、さまざまな要因から断念せざるを得ない状況となっていた。
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