特集2 領域連携にむけて知っておきたい 看護教育のキーワードと実践
―老年看護学―もてる力・できる力に着目する看護実践
齋藤 千明
1
1東京都立北多摩看護専門学校
pp.72-77
発行日 2022年2月25日
Published Date 2022/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201895
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老年看護学で学ぶこと
日本では高齢者人口の比率が高くなり高齢化率28.8%、さらに平均寿命は女性87.45歳、男性81.41歳と延伸しており、超高齢社会の人口構成になっている1)。それに伴い医療費の上昇や高齢者世帯の増加、介護不足など、さまざまな問題が浮上し、高齢者本人のみならず支える家族・高齢者を取り巻く人々にとって、高齢者の医療・福祉に関する問題は社会的関心事になっている。高齢者の保健・医療・福祉はこうした社会背景・情勢の影響を受けやすく、高齢社会に対応する政策も日々変化している状況にある。このような状況のなかで、老年看護の場は多岐にわたり、またその機能は拡大して、より専門性が求められている。
老年期は成人期の延長線上にあり、自然な経過として加齢変化が現れ、心身の機能や社会生活・役割に変化を生じる時期である。そして、疾患の要因と加齢変化が複雑にからみ合い、症状の出現が非定型的で、その出現や変化は個人差が大きく、健康問題は複雑化・長期化しやすい。
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