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特集 「急性期病院における認知症高齢者の看護実践を考える」
認知症高齢者のもてる力に着目した看護
Nursing Focusing on Empowering the Ability of Elderly with Dementia
住若 智子
1,2
Tomoko Sumiwaka
1,2
1前 平野総合病院
2現 松波総合病院
1Former Hirano General Hospital
2Matsunami General Hospital
pp.24-28
発行日 2017年7月31日
Published Date 2017/7/31
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1.はじめに
平野総合病院(以下,当院)は診療科目20の199床の総合病院であり,看護体制は10対1である.2016年看護の対象となった入院患者の85%が高齢者であり,平均年齢は71歳と,高齢者や認知機能の低下がある患者が多く入院している医療施設である.2009年と2013年に認知症看護認定看護師(以下,DCN)が各1人ずつ誕生し,2010年より認知症看護についての取り組みを看護部全体で行ってきた.一般医療機関に認知症高齢者が入院となった場合,環境の変化や治療のための身体的負荷が加わることで,認知症症状の出現やせん妄を発症し,看護師が対応に苦慮することが多々ある.当院でも取り組み当初,「認知症の方が入院すると大変」という負のイメージをもっているスタッフが多くいた.しかし,認知症高齢者の「もてる力」に着目し,「もてる力」を意図的に見つける取り組みを行い,ケアを実践していくことでいっけん対応に苦慮する看護師側からみた「困った言動」を肯定的にとらえる機会となっていった.認知症ケアを積極的に取り組むことで認知症高齢者の「もてる力」が看護計画に反映され,治療の効率化が行われ,身体拘束の3原則(切迫性・非代替性・一時性)にのっとりアセスメントされることで格段に減少するなどの効果を実感している.本稿では当院で行われた「認知症ケア加算2」算定までの実際と事例を紹介する.
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