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日本老年看護学会第19回学術集会特集 教育講演1
認知症高齢者のもてる力を引き出す看護─認知症のパーソン・センタード・ケア
Nursing to Empower Ability of Elderly with Dementia: Person-centred Care of Dementia
鈴木 みずえ
1
Mizue Suzuki
1
1浜松医科大学地域看護学講座
1Hamamatsu University School of Medicine,Faculty of Nursing,Community Nursing
pp.14-18
発行日 2014年11月30日
Published Date 2014/11/30
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- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
1.はじめに
人口の高齢化に伴い認知症高齢者の数は増大し,2013年6月に厚生労働省は認知症高齢者が462万人,さらに軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment;MCI)を含めると862万人になると推定しており(朝田,2013),高齢者の4人に1人が認知症に直面することになるといわれている.さらに認知症高齢者は,脳神経の障害の影響や歩行・バランス機能の低下から介護保険施設で転倒・骨折を起こしやすく,認知症の行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia;BPSD)のために看護・介護に関する負担感が増大していることが指摘されている.現在,とくに急性期病院においては,入院期間の短縮化によるケア治療のスピードや方法が認知症高齢者のケアと対立したり,治療のための行動制限などから生活リズムの障害やBPSDが増悪したり,入院による混乱・せん妄などから合併症を引き起こしやすいなど,認知症高齢者のケアにおいては課題が山積している.さらに,急性期病院では認知症高齢者のBPSDに対する対応が十分にできないことや,身体合併症に起因するBPSDの影響のために適切な診断や治療が実施されていないという報告(熊谷ら,2010)がある.また,抑制や身体拘束などの倫理的課題も多く(諏訪,2012),看護師の負担感を増大させている(松尾,2011).
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