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はじめに
2020年4月、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、急遽対面授業からオンライン授業への転換などを求められ、教育環境が激動した。いまだかつて誰も経験したことのない混乱と先行き不透明な不安のなか、オンライン授業のやり方、教育の質の担保、インターネット環境の整備など、多くの課題に直面した。このような状況では、小グループを活用する協同学習は無理ではないかと諦めかけた。実際、教室空間の共有によって生じるその場の空気感や、密な意思疎通ができないオンライン授業で協同学習を用いても、「協同学習の意図が伝わらない形ばかりの実践」1)になるのではという不安があった。
そこで、原点回帰して協同学習をひもといてみたところ、筆者の不安は杞憂に過ぎなかった。なかでも、バークレイらは、「協同学習の技法」2)で紹介しているすべての技法にについて、1つひとつていねいに「オンライン授業の可能性」を提供しており驚嘆した。デジタル技術の革新が急速に進展していく時代を見すえ、重要事項として、すでに10年以上前にオンライン授業の指針を示している。どんなに教育の環境が変わろうと、協同の精神に支えられた技法であれば協同学習は可能だと気づいた。思えば、たしかに協同学習は対面授業によるグループ活動に限られない。同時双方向型オンライン授業(以下、オンライン授業)でも、協同の精神に基づく学習が実現できれば協同学習といえる。オンラインでも学生同士の心をつなぎ、協同の精神を育むことで、協同学習が構築されると途が拓けた。
本稿では、「成人クリティカル・周手術期看護方法論」で取り組んだ協同の精神の基盤づくりと、「手術後の患者と家族の看護(以下、術後看護)」の授業について紹介する。なお、「成人クリティカル・周手術期看護方法論」は、藤田医科大学看護学科(以下、本学)の2年前期に開講する1単位30時間15回の講義科目である。ここでは、成人期の周手術期およびクリティカルな状況にある患者と家族の看護を学ぶ。取り上げる「術後看護」は、「術前看護」「術中看護」などから続く単元である。
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