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はじめに
2020年2月、新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい始めたころ、ほとんどの人はインフルエンザの流行程度の認識だったのではないだろうか。しかし、4月に入っても感染症の勢いは衰えず、新学期開始早々、沖縄県内の感染拡大状況の影響を受け、浦添看護学校(以下、本校)は臨時休校の措置をとった。学生は多くの学習課題をかかえて自宅待機、教職員は管理者以外全員が在宅勤務となった。
メディアをとおして、日々変化していく新型コロナウイルスの感染拡大状況を目の当たりにしながら、「でも、教育はストップできない!」との思いから、本校では教員と事務職員が協働してオンラインチームを立ち上げ、オンライン授業の具体的実施の検討に入った。同時に、学生のネット環境の調査、教員の電子機器の習熟状況確認・デモンストレーションの実施など、遠隔授業(以下、オンライン授業)遂行に必要な学内の環境整備などを行った。
電子機器を用いた双方向でのオンライン授業は、教員・学生にとって初めての試みであったが、コンピュータに詳しくない教員でも比較的操作しやすいとの判断から、5月にZoomによるオンライン授業をスタートした。その後も試行錯誤の日々ではあったが、2021年4月、ほぼ1年が経過した現在、ほとんどの教員がZoomによるオンライン授業を行っている。
今回、オンライン授業についての新たなチャレンジの機会を得た。それは、120名の1年生と県外在住の非常勤講師(以下、担当講師)とをインターネットでつないだ「協同学習の実践授業」である。今年度の1学期開始も昨年同様、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、当初、予定していた対面授業を、やむを得ずオンライン授業に切り替えた。
協同学習の最大の特徴は、一緒に作業を行うという行為を通じて学生が互いに学び合うことだ。しかし、協同学習の手法を用いたオンライン授業は対面授業と同様の効果が得られるのか、また、入学後間もない1年生がオンライン授業についていけるのかなど、実施に対する不安は大きかった。しかし、当初の計画を変更せず、オンライン授業実施に至った理由は2つある。1つ目は、1年生のこの時期に学生が本校における学びの姿勢や具体的な学習方法を体験し、学習動機を高めること。そして2つ目は、2022年度からの新カリキュラムに位置づけたい科目の試行およびその評価にあった。
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