特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
5.神経科学
成長円錐ガイダンス
上口 裕之
1
Hiroyuki Kamiguchi
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター神経成長機構研究チーム
pp.428-429
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100544
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
神経回路が構築されるためには,神経細胞の細胞体から伸長した軸索突起が標的細胞に到達してシナプスを形成することが必要である。成長円錐(軸索先端部)はその細胞外環境に存在するガイダンス情報を読み取り,正しい方向へ移動し,軸索突起を牽引伸長する。成長円錐の前進を駆動する基本的なメカニズムはほぼ解明されており,1)細胞骨格(アクチン線維と微小管)の動態,2)細胞接着の時空間的制御,3)細胞膜の輸送などの重要性が報告されている1)。しかし,成長円錐が細胞外情報を旋回運動へと変換するガイダンス機構には不明の点が多い。本稿では,細胞質カルシウムイオン(Ca2+)シグナルと細胞膜動態に焦点を絞り,成長円錐ガイダンスに関する新たな学説を紹介する。
Copyright © 2008, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.