連載 つくって発見! 美術解剖学の魅力・17
骨盤内臓(男性)―体の外まで押し出た内臓
阿久津 裕彦
1,2
1順天堂大学解剖学生体構造科学講座
2東京芸術大学美術解剖学講座
pp.343
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201228
- 有料閲覧
- 文献概要
体幹のもっとも低い場所で骨盤に守られているのが、骨盤内臓と呼ばれる器官です。前方に膀胱、後方に直腸があり、その間に生殖器官があります。男性は膀胱の下に前立腺が、後ろに精囊があります。女性では膀胱と直腸の間に腟があり、子宮がその上に乗っています。子宮や卵巣が目立つ女性の骨盤内臓は複雑に見えますが、男性も体外に押し出された精巣から膀胱の後ろまではるばる向かう精管があるので、それほど単純ではありません。
造形では、まず膀胱を作ります。膀胱は先の尖った栗のような形です。その左右に尿管の断端をツノのように付けます。膀胱の下には丸い前立腺を付け、左右の精囊は尿管と前立腺の間に付けます。これらを体壁に見立てた厚めの粘土の板に乗せ、その前部を上へ折り曲げて下腹部の腹壁とします。次に棒状の粘土を陰茎としますが、これは前立腺の真下から始まるので長めにします。精巣とそこから伸びる精管は、先が細長く伸びた涙の形にします。精巣は陰茎の左右に立てて置き(①)、細長い精管は腹壁を跨いで(実際は鼠径管を通過して)膀胱の後ろへ向かい、尿管のツノに引っかかるように下降して精囊へと向かいます(②)。最後に太い直腸を作って後ろに配置して完成です(③)。
Copyright © 2019, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.