増刊号 すぐに使える周術期管理マニュアル
Ⅲ章 術式別の術前・術中・術後管理
小腸・大腸
骨盤内臓全摘術
池 秀之
1
,
上向 伸幸
1
,
谷口 浩一
1
Hideyuki IKE
1
1独立行政法人地域医療機能推進機構 横浜保土ケ谷中央病院外科
pp.134-137
発行日 2019年10月22日
Published Date 2019/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212680
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骨盤内臓全摘術は原発性直腸癌または直腸癌局所再発が膀胱,前立腺に浸潤する場合に行われることが多い1,2).濱野による骨盤内臓全摘術1,084例のアンケート集計では原発例が73%,再発例が24%,不明が3%であった3).骨盤内臓全摘術には直腸,膀胱,生殖器を一塊として切除するtotal pelvic exenteration(TPE)と女性における直腸,子宮,腟,卵巣を合併切除する後方骨盤内臓全摘術(posterior pelvic exenteration)および直腸を残して膀胱と女性生殖器を切除する前方骨盤内臓全摘術(anterior pelvic exenteration)があるが,一般的には尿路系の合併切除を伴うTPEを指す.近年は腹腔鏡手術の進歩により,腹腔鏡下骨盤内臓全摘術4,5),ロボット支援骨盤内臓全摘6)も試みられている.
膀胱,前立腺への浸潤の診断は,直腸指診で腫瘍の可動性が不良な場合に浸潤を疑う.画像診断ではCT, MRIを行うことにより診断する7).また,膀胱鏡を行い,膀胱内への浸潤の部位,範囲を診断する.女性においては婦人科併診を行い腟からの超音波検査も有用である.膀胱三角部への浸潤,前立腺深部への浸潤,尿道への浸潤がある場合には骨盤内臓全摘術の適応となる.MRIによる側方リンパ節転移診断も重要である.
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