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書評 ─『病気の成り立ちを知る』(基本を学ぶ 看護シリーズ3)─人の病気がわかる「症状マネジメント」─看護学生には必読
石川 倫子
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1石川県立看護大学看護キャリア支援センター
pp.1075
発行日 2018年12月25日
Published Date 2018/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201142
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看護師はなぜ「症状マネジメント」をするのか,どのように「症状マネジメント」するのか,本書は看護師のこの問いに的確に応えてくれる最良の書である。
本書の基幹である「第4章 患者の症状から病気を推定する」は,①定義,②発生の仕組みと原因,③アセスメント,④治療と看護のポイントからなり,症状をもつ患者に遭遇したときに看護師が患者を理解するプロセスに沿って構成されているので,まるでそこに患者がいるかのように症状マネジメントが理解できる。この章だけでなく,本書全体の構成が「第2章 面接・観察を通して状態を把握する」「第3章 臨床検査の結果を通して状態を把握する」「第4章 患者の症状から病気を推定する」と看護師としての「症状アセスメント」のプロセスに沿っており,第1章と第5章には症状マネジメントに必要な医学的知識が補完され,読み進めることで自然に「症状マネジメント」がわかるようになっている。また,臨床看護師が症状をもつ患者を理解するときに湧く疑問やもっと知りたい内容,思い出せない解剖生理の内容がコラムや図解で詳細かつ平易に説明されており,より理解を助けてくれている。さらに,第3章は臨床検査の結果からまさしく患者の状態が判断できるようになるために,検査値の判断の仕方や検査値等から考えられる疾患,緊急対応を要する検査値がパッとわかるようにかつ詳細に記載され,他の本にはない患者の症状を理解するのにほしかった臨床検査の知識がこの章にある。まさにこの1冊で,患者さんにとって最適な症状マネジメントができるようになっている。
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