連載 リレーエッセイ 医療の現場から
それって病気?
北澤 京子
1
1日経BP社
pp.239
発行日 2011年3月1日
Published Date 2011/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101921
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お正月休みに,抜け毛が気になる30代男性に向けて「お薬があります」と呼びかけるテレビCMを見た.従来の疾患啓発広告は,「お医者さんに相談しましょう」などと医療機関への受診を促す内容のものが多かったが,このCMでは,医療機関を受診すれば「(抜け毛の悩みを解消してくれる)薬がある」ことをアピールしており,一歩踏み込んだ表現になっている.
CMであるにもかかわらず具体的な商品名が出てこないのは,わが国では医療用医薬品の一般向け広告が規制されているからだ.だが,当の男性にとっては,薬の商品名など別にどうでもいいことかもしれない(“爆笑問題の薬”で十分通じるだろう).その意味でこの広告からは,抜け毛が気になる男性に医療機関を受診してもらったうえで,医療用医薬品である自社製品を使ってもらいたいというスポンサーの意図が,かなりストレートに伝わってくる.
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