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書評「遺伝子と日常の病気」
柴田 昭
1
1新潟大学医学部内科学
pp.400
発行日 1994年4月25日
Published Date 1994/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105769
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この度,わが国を代表する遺伝学者,京都府立医大衛生学教室の阿部達生教授の手になる「遺伝子と日常の病気」が発刊された.遺伝子を抜きにして医学を語ることはもはや不可能となった今日,まことに時宜を得た出版と思う.
書評に入る前に著者について一言触れなければならない.著者は現在,基礎医学の教授であるが,20年近く内科学教室で研鑽を積まれた.その臨床的実力のほどは188頁にあるメトヘモグロビン血症の症例発見のエピソードに端的に示されている.内科学教室で長い間,血液学-中でも細胞遺伝学(染色体の研究)に携わり,その後必然的に分子遺伝学に進まれ,現在は人類遺伝学に至るまで幅広い活動を続けておられる.その軌跡はハッキリとした1本の太い筋で貫かれている.場当たりの流行を追う研究者ではないのである.この背景を知ることは本書を読む際の大切なキーポイントになる.すなわち,著者は分子遺伝学を語りながら,絶えずその成果の臨床への還元,人類遺伝学への展開応用を意識しているのである.
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