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書評「遺伝子と日常の病気」
高久 史麿
1
1国立病院医療センター
pp.1220
発行日 1994年10月25日
Published Date 1994/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403105955
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京都府立医科大学・阿部達生教授が書かれた「遺伝子と日常の病気」を読む機会があった.文献の頁を含めると358頁になる1人の執筆者による本としては厚い本である。
本書はその題名の示すとおり,様々な疾患を遺伝子のレベルで解説することを目的として書かれたものであるが,その内容は初めのほうの章,すなわち「1.染色体と染色体異常」,「2.遺伝子と遺伝子の異常」,「3.遺伝子組換えと遺伝子研究法」,「4.遺伝子地図作成」の4つの章のタイトルにも示されたごとく,染色体や遺伝子に関する基礎的な知識に総頁数の1/3くらいが費やされている.その内容はかなり詳細で,特に各研究の歴史的な発展の経緯が詳しくかつ正確に書かれていることには感心させられた.その発展の歴史的な出来事を知ることは,物事の理解に大いに助けになるものであるが,阿部教授はその方法を用いて染色体やDNA,遺伝子に関する基礎的な事柄をわかりやすく解説されている.
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