実践報告
充実した在宅看護学実習の実現をめざして(中編)─受け入れ側の訪問看護ステーションと大学の連携からの示唆
平山 香代子
1
,
栗本 一美
2
,
炭谷 靖子
3
,
正野 逸子
4
,
上野 まり
5
,
荒木 晴美
3
,
菊池 和子
6
,
王 麗華
7
,
本田 彰子
8
1亀田医療大学
2新見公立大学
3富山福祉短期大学
4産業医科大学
5湘南医療大学
6岩手県立大学
7大東文化大学
8東京医科歯科大学大学院
pp.718-723
発行日 2018年8月25日
Published Date 2018/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201061
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教育機関と実習受け入れ先双方のために
わが国は,高齢者の増加にともない,要介護者の急増や看取りが問題となっている。2025年を目前に地域包括ケアの構築が急ピッチで進められ,在宅医療・ケアを担う人材育成が急務となっている。訪問看護アクションプラン20251)では,2025年までに在宅看護を担う訪問看護師数を現在の3倍程度(約15万人)に増やすことを目標としており,訪問看護師の離職対策や新卒の訪問看護師の育成が求められている。
看護基礎教育の在宅看護学実習において,訪問看護ステーションでの実習はその中心をなし,生活の場における看護を理解するうえで重要である。しかし,在宅看護学実習は,他領域の実習と異なり,教員が直接学生指導をすることが大変難しく,同行する訪問看護師に学生指導を託しているのが現状である。一方,指導に当たる訪問看護師の育成は,個々の背景となる教育背景やそれまでの臨床経験,同行訪問のなかでの経験的な学びが多く,訪問看護師自身の学習能力や意欲にその効果が左右されがちである。また,訪問看護ステーションは小規模が多く,利用者の選定や調整,1人の利用者に何か所もの教育機関の学生が訪問するなど利用者やステーション,訪問看護師にかかる負担も大きい2,3)。さらに,教育機関の在宅看護学実習担当教員は訪問看護の実務経験者が3割と少ないため,教員の臨地での指導には限界がある。看護基礎教育機関の実習と現任教育の充実をめざして,看護基礎教育機関と訪問看護ステーション双方がもつ強みを生かした効果的な教育のコラボレーションが求められる。
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