連載 フィンランドとの交流経験からの今後の日本の看護教育,研究活動への示唆・2
臨地実習への実践的,研究的取り組みの必要性
的場 圭
1
1大阪青山大学健康科学部看護学科
pp.548-552
発行日 2017年7月25日
Published Date 2017/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200785
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はじめに
前号ではEBP(Evidence-based Practice)の実践を担う学位をもつ看護師の役割について論じ,学位取得看護師が重要であることを指摘した。「エビデンスに基づく」とは,最新の研究知見のように科学的に証明された根拠を用いるということである。「エビデンスに基づく」という考え方の重要性は,臨床実践だけに限らない。看護教育の目的は言うまでもなく,看護師の養成であり,将来の看護師を育てる教育においても,エビデンスに基づく教育が必要である。現在でも,エビデンスに基づいた看護技術や援助ができるよう,講義や演習が実施されているが,今後は教育実践そのものにも,エビデンスを求めることが必要ではないだろうか。特に,看護実践を学ぶ重要な機会である臨地実習において,エビデンスに基づいた,効果的な教育実践1)を追及していくことが重要であると思われる。
今回の交流において,オウル大学とオウル大学病院の看護学生に対する臨地実習の取り組みを見学する機会を得た。そこでは,臨地実習教育の現場での課題を科学的に検証し,解決していこうとする様子がみられた。そのため,本稿では,オウル大学とオウル大学病院による臨地実習への実践的,研究的取り組みを紹介し,わが国の看護教育,とりわけ臨地実習における研究の現状を概観したい。これらをふまえ,日本の臨地実習を研究として進めていくうえでの課題について論じてみたい。
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