特集 教える力を養うための継続研修を
FDを教育力UPのための継続教育の視点でとらえる
近藤 麻理
1
1東邦大学看護学部
pp.6-10
発行日 2017年1月25日
Published Date 2017/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200662
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永遠の“足し算”
「FD(ファカルティ・ディベロップメント)はしなくてもいいです!」と,組織のトップから言われたら,皆さんはホッとするだろうか,それとも不安になるだろうか。一度,想像してみてほしい。まずは,どうしてやらないのかとその理由を探すだろう。これといった教育力向上の効果がみられないからか。それとも,FDの時間を取れるほど教員は暇な仕事ではない,私たちは絶えず忙しいと納得するか,あるいは,多くの教員から不満の声があがり対応に疲れたからか。そもそも何のためにFDをやっていたか不明で,しょうがなくやっていただけのことだからと思うだろうか。いやいや,すでに能力が高い教育者集団だからに違いないと満足する人もいるかもしれない。
では,もしもFDがこの世から消えてくれたら,どれほど平穏に教員として毎日が過ごせるかと思ったことはあるだろうか。看護教育現場の業務内容は,教育や研究のみならず,運営,社会貢献,地域連携などと,毎日,毎月,毎年,増加している。そのため教員の本音としては,FDに限らず“何でもいいからこれ以上増えないでほしい”と,祈る気持ちなのである。私たちは,教育という仕事の量も質も変化し,しかもずっと増加し続けるという“足し算”を繰り返すことから,いつの間にか抜け出せずにいる。どうすれば私たち自身も納得できる,充実した看護教育を学生に提供することができるのだろうか。
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