連載 “医療安全力”を育むリスクアセスメントトレーニング・Training 25
未来を育む─基礎教育と臨床のコラボレーション
斉藤 奈緒美
1
,
石川 雅彦
1
1公益社団法人地域医療振興協会地域医療安全推進センター
pp.400-407
発行日 2016年5月25日
Published Date 2016/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200506
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医療安全推進における現状と課題
医療安全推進に向けてさまざまな制度が施行され,各医療機関においても医療安全管理者の配置をはじめとして,医療安全管理者を中心に医療安全管理体制整備,インシデント・アクシデント事例の報告体制整備,インシデント・アクシデント事例分析,分析結果に基づく再発防止対策実施,職員への医療安全教育の実施などに,取り組まれていると思われる。しかしそれでも,インシデント・アクシデント事例の発生は少なくない。
日本医療機能評価機構の医療事故情報収集等事業における平成26年年報1)によると,報告義務対象医療機関からの医療事故の報告の内容(発生月に基づいた集計)において,当事者の職種経験年数6年まででは,発生の合計件数は,0年198件,1〜6年では200件以上で看護師の割合がほぼ半数以上で,割合を見ると,49.1〜71.4%と看護師が占めている割合が高い(表1)。これは,看護師の担う業務の特徴とも言える「さまざまな医療の提供における最終執行者である」ことが影響していると考えられる。
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