連載 Mail from USA 『JNE』を読み,世界の看護教育の流れを知る・5
協力するということ―コラボレーションの意義
新福 洋子
1
1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.874-875
発行日 2009年9月25日
Published Date 2009/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101310
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●「看護学」が「人類学」とチームを組む意義
私がアフリカの研究において人類学の教授とチームを組んでいると言うと,どうやってそのチームに入ることができたのかをよく聞かれます。イリノイ大学博士課程では,コースワークの中で他の学部の授業も自由に選択科目として取ることができるので,私は人類学の授業を取り,そこで教授と研究の対象/興味が共通していたことでチームに誘われたのでした。私たちの研究は出産と母乳育児に関わるものなので,私が助産師(看護師)だったということもチームに入ることができた大きな要因だと思います。
一緒にタンザニアに行く人類学の教授はよく,「私は本当にナースになりたい。来世では絶対にナースになる」と言います。アフリカの医療を目の当たりにして,まず最初に気がつくのは医療スタッフの不足だからです。なかでも,病院に列をなす人々に最初に携わるのが看護師であり,看護師が病院の活動の中心を担っていると言っても過言ではありません。そういった環境に研究のために深く入り込んでいると,「自分もここで役に立てればいいのに」という気持ちになるのだそうです。もちろん大きく捉えると,研究自体が現場の医療を世に知らしめて,変化や改善を促す意味で大きな意味があるのですが。
昨年タンザニアに行った際,研究許可がなかなか下りずに研究が始められないという状況が数週間ありました【49巻7,9号】。私は,その期間に代わりにボランティアで助産師として出産の介助に当たり,現場に関わることでそこで何が起きているのかを観察することができ,私自身の今後の研究の糧にできました。
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