特集 あなたの「見方」に現象学を
現象学はあなたにもきっとおもしろい!─教務主任養成講習会を通して
榊原 哲也
1
1東京大学大学院人文社会系研究科
pp.250-257
発行日 2016年4月25日
Published Date 2016/4/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200472
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現象学と看護と私
「現象学」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。そんな言葉は聞いたことがないという方も多いかもしれません。しかし近年,看護研究の分野で「現象学」は注目されつつありますので,あるいは耳にしたことがあったり,すでに関心をおもちだったりする方もおられるのではないかと察します。
「現象学」は20世紀初めにヨーロッパで成立し,大きな思想運動となった現代哲学の1つの流れなのですが,1970年代に英米圏で看護理論や看護研究のなかに取り入れられ,わが国でも1990年代になると,質的研究の方法の1つとして注目され始めました。2000年代になると,「現象学的アプローチ」「現象学的研究」などと呼ばれる現象学をベースにした看護研究はいよいよ増加し,たとえば『看護研究』誌では現象学に関する特集がたびたび組まれていますし1─4),また昨年には現象学をベースにして広く臨床実践に関する研究を行う学会(臨床実践の現象学会:http://clinical-phenomenology.com/)も設立されるなど,「現象学」は看護の世界で大きな流れになりつつあります。本誌でこのような特集が組まれるのも,そうした流れの1つだと思います。
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