特集 カリキュラムを「拡張」しよう!
準正課教育を活かして,カリキュラムを広くとらえよう
山田 剛史
1,2
1京都大学高等教育研究開発推進センター
2京都大学大学院教育学研究科
pp.168-173
発行日 2016年3月25日
Published Date 2016/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200451
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はじめに
私と看護の出会い
個人的な話だが,私が初めて教壇で教える機会を得たのは,看護の専門学校だった。当時は大学院生で,当然ながらFDの経験もなかった。今に至るまで,計6年半,3つの看護専門学校で主に心理学を教えてきた。看護特有の人なつっこい学生気質,先生方のホスピタリティを肌で感じながら教育者としての基礎を学ばせてもらった。学校規模は小さく,先生方も職員室のような大部屋で日々の職務を行っている。先生方は学生1人ひとりの顔と名前を覚えていて,日常的に学生と屈託のないやりとりをしている。教育・実習に加え,生活支援も含めた全人的な専門家の育成がなされており,大変感銘を受けてきた。
FDなどで看護教員を対象に研修やワークショップを行っていると,相当熱心に授業内外で学生の学びと成長に関与していることがわかる。こうした関与の大半は,個々の教員の自助努力・ホスピタリティに依存している。今回は,準正課教育という考え方をもとに,学生の学びと成長を促進するカリキュラムの在り方と具体的な方法について考えてみたい。
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