特集 形・型・可で技術教育の「安楽」を考えよう!
「非」と「安楽」 看護技術教育における「可」の姿
阿保 順子
1
1北海道医療大学大学院看護福祉学研究科
pp.28-34
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200420
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はじめに
「かたち」「かた」「か」,韻が踏まれているせいか,はたまた「か」に続く文字が1つずつ消えていくせいか,見た目にも響きとしても美しい。これが「形」「型」「可」という漢字になると,今度は日本人が得意とする「ものづくり」の職人技を連想してしまう。ひらがなも漢字も,看護技術を見事にイメージ化している。美であり巧みである。
今回の特集は,「形」「型」「可」という,武谷三男氏の科学的認識における三段階論を底流に組まれている。武谷理論はこの三段階理論と技術論からなるといわれており,技術論についての有名なテーゼが,「技術とは客観的自然法則の意識的適用である」ということである。彼の科学的認識論と技術論の2つは,川嶋みどり氏が提唱している看護技術の考え方を貫く基本的な考え方でもある。今回,私に与えられたミッションはこの最終段階の「可」を,看護技術教育のなかでどう教えていくのかについて論ぜよというものであるが,看護技術・看護技術教育・安楽,これらのキーワードを前にして,ためらいが先に立ち,その入口で躓いてしまいそうである。
本稿では,まず,看護は実践学であるということ,そうであるならば看護実践はどのようにして成り立っているのか,そして看護実践にとって看護技術とは何なのか,順を追って述べていく。たぶん,そのプロセスで「安楽」の意味や,看護技術教育のありようが見えてくるだろうし,「可」の正体やその必要性もまた了解されてくると思われる。
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