実践報告
安全なケアを提供するための能力の育成─「インシデント・アクシデント報告書」の改訂と活用から
小林 美雪
1
,
伏見 正江
1
,
萩原 結花
1
,
茂手木 明美
1
,
吉澤 千登勢
1
,
西村 明子
1
,
須田 由紀
1
,
森田 祐代
1
1山梨県立大学看護学部
pp.38-43
発行日 2016年1月25日
Published Date 2016/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200423
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はじめに
看護基礎教育における安全教育については,厚生労働省が2008年に改正した「保健師助産師看護師学校養成所指定規則」において,看護基礎教育の重要な改正内容として「統合分野」を創設し,「より臨床に近い知識や技術を修得できる」ことを目的に『医療安全の基本的知識の修得』が導入された1)。その後,文部科学省と厚生労働省から,看護師に求められる実践能力のコアとして,『安全なケア環境を提供する能力』の育成が提案された2)3)。また2013年には,日本看護協会が,「医療安全推進のための標準テキスト」を公表し,看護基礎教育および継続教育における安全教育の重要性を明示した4)。
本学においても,教員および大学職員で組織する看護学実習委員会(以下,委員会)が中心となり,安全教育への取り組みを始めた。その一環として,インシデント・アクシデント報告書(以下,報告書)の改訂がある。従来の報告書では記載内容のばらつきや分析に必要な情報が不足していることなどが課題としてあり,報告書を活用した安全教育につなげることが難しかった。そのため,委員会では,実習における安全教育の位置づけを再度確認するとともに,報告書の見直しを行った。本稿では改訂の過程で明らかになった課題および報告書の改訂内容,さらに,報告書記載の意味づけの強化など,新たな報告書を活用することによる,学生と教員の安全意識の向上への取り組みについて報告する。
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