特集 学生の答え,ちゃんと待てますか 今こそ知りたいファシリテーションの心構え
学生が安心して参加できる場づくりと深い学びを引き出すファシリテーション
渡邉 奈穂
1
1東京慈恵会医科大学医学部看護学科
pp.1064-1070
発行日 2015年11月25日
Published Date 2015/11/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200379
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ファシリテーションを学ぶこと
看護教員の多くは看護師としての臨床経験を数年積んでから教員となる。患者の話を傾聴し,抱える思いや問題を引き出すというコミュニケーション技術については学生の頃から学習し,臨床の日々のケアの実践で訓練してきている。そのため,患者個人を対象とした場合,その人の思いや抱えている問題などを引き出すことには慣れているであろうし,得意としているのではないだろうか。一方で,講義や演習,実習指導など看護教員として学生にかかわる場面においては,個人だけではなく集団を対象とし,集団の学習活動のなかで学生の発言を引き出し,さらに学生同士の学びを促進するという,看護師のコミュニケーション技術とは異なる種類の技術が求められる。しかしながら,学生の発言や学生同士の協同的な学びを引き出す方法について知識や技術を身につける機会は少なく,教育現場で戸惑いを感じている看護教員も多いではないだろうか。
また,看護教員になると,いきなり学生の「ファシリテーター」の役割を担うということはよくある。筆者も看護教員を始めたばかりの頃,実習指導を担当し,実習で毎日行われるカンファレンスでの学生の学びの振り返りを任された。
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