マイ・オピニオン
主体的な学びを支える場づくりを
大田 すみ子
1
1北海道大学医学部付属病院
pp.969
発行日 1981年9月1日
Published Date 1981/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661922804
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‘以前に勤務していた病院は,看護の手順も看護体制も,卒後の教育も各コースが整っていて,だれもがそのとおりに行動していればよかった.この病院は病棟によってチームナーシング体制だったり,受け持ち制だったりで,手順も病棟ごとに異なって共通でなく,それも行う看護婦個々に任せられている.とてもやってはいけません’と言って当院を辞職し,またもとの病院に戻っていった看護婦がいた.短大を卒業し,その実習病院で3年間過ごした彼女は,他流試合をする意気込みで当院に勤務したのだろうが,過去の体験との違いに,1年間で音をあげてしまい,同じ所から来た彼女の友人も翌年退職してしまった.口にだして表現するか否かは別として,こうした現象は彼女らのみにとどまらず,至る所で起こってきている.
手順や体制や,その他様々なシステムを統一的に整えて看護にあたることと,個々の病棟の看護婦の力や個性や条件に基づいてチームメンバーが体制づくりから努力する過程とでは,どちらが看護婦の質的向上へ向けて寄与するのか.現在の私は結論を持っていない.しかし,後者を選択してすすめている立場にいる私としては,こうした現象に疑問を投げかけずにはいられない.
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