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書評 看護のためのファシリテーション―学び合い育ち合う組織のつくり方
渡邉 奈穂
1
1東邦大学看護学部 基礎看護学
pp.535
発行日 2020年6月25日
Published Date 2020/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663201513
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「学び合い、育ち合う」看護現場をつくるファシリテーションの実践書
本書は、“ファシリテーション”という言葉がまだ一般的に知られていない2003年からファシリテーション講座を始め、長年実践を蓄積してきた中野民夫氏、森雅浩氏と、看護師長の経験を活かし、ファシリテーションを医療・看護に応用してきた浦山絵里氏による「学び合い育ち合う」看護現場づくりに役立つファシリテーションの実践書である。
看護現場では「自律したスタッフ」の人材育成が重要な課題となっている。浦山氏は、そうした人材を育てるためには対話型組織が必要であることを訴えている。対話型組織には、①組織の中に安全で安心できる対話の場がある、②新しい挑戦に伴う小さな失敗を歓迎する風土がある、③挑戦を支援する仲間がいるという3つの要素が内在されていることが重要である。この3つの要素により、自律したスタッフが育まれ、変化を恐れない組織文化が醸成され、さらには新しい仕事の知恵を皆で創造できる「学び合い、育ち合う」場が成立すると述べている。そして、そのような自律した風土をつくるための方法としてファシリテーションのスキルが活躍するというのである。
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