連載 アジア,アフリカ,ラテンアメリカの看護教育はいま・6
エルサルバドル─「看護の思考の祖型」と「批判的思考」を身につける看護教育を
森山 ますみ
1
1日本赤十字九州国際看護大学
pp.902-909
発行日 2015年9月25日
Published Date 2015/9/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200327
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はじめに
エルサルバドルは日本から遠く離れて馴染みは薄い国だが,「中米の日本」と呼ばれているのはご存じだろうか。それは,国土は狭く,人口密度が高い国であり,天然資源に恵まれず,災害が多いことに加え,国民が勤勉だからである。国名はスペイン語で「救い主」を意味するが,その名前とは裏腹に過去に悲惨な内戦の歴史をもっている。エルサルバドルの内戦の惨状を描いた映画,『サルバドル/遥かなる日々(原題:Salvador)』(1986年,米国),『イノセント・ボイス─12歳の戦場』(2006年,メキシコ)は日本でも公開されたので観られた方もいるのではないだろうか。
2015年は日本と外交関係を樹立してから80周年にあたる記念の年である。エルサルバドルは第二次世界大戦後初めて日本の企業が海外進出した国であり,また中南米で初めて青年海外協力隊が派遣された国である。内戦終結以降,日本政府はエルサルバドルの復興に向けた取り組みを積極的に支援してきた。筆者はJICA(国際協力機構)の看護教育強化プロジェクトで専門家として働き,その後は聖路加国際大学大学院に進み,この国で看護継続教育の研究を実施してきた。これらの経験を通して知ったエルサルバドルとその看護教育について紹介する。
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