レポート
エルサルバドルにおける出産のヒューマニゼーション
笹川 恵美
1
,
三砂 ちづる
2
,
春名 めぐみ
3
1東京大学大学院 医学系研究科 母性看護学・助産学分野
2津田塾大学学芸学部
3東京大学大学院医学系研究科 健康科学・看護学専攻 母性看護学・助産学分野
pp.68-76
発行日 2023年2月25日
Published Date 2023/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665202112
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1996〜2000年にブラジルで実施された国際協力機構(Japan International Cooperation Agency:JICA)技術協力「家族計画母子保健プロジェクト(通称「光のプロジェクト」)をご存じだろうか。不必要な医療介入を減少させ,科学的根拠に基づいた助産ケアを通して「人間的なお産」を実現する「出産のヒューマニゼーション」を目指す取り組みである。「光のプロジェクト」以降,現在までに7カ国で同様のJICAプロジェクトが実施されてきた。
ブラジルにおける光のプロジェクトは成功裡に終わり,本誌でも2001年に特集が組まれた(55巻4号)。地球の裏側からもたらされたこの取り組みと概念に感銘を受け,海外で活躍する助産師に憧れの念を抱いた者も多いことだろう。このプロジェクトで重要な助産ケアモデルとなったのは,医療行為が法律で禁止されていながらも,地域に根ざした活動と満足度の高い継続的なケアにより,妊産婦のリスクを引き下げてきた日本の開業助産院における助産ケアであった1)。
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