焦点
タイ国のハンセン病を病んだ人々との関わり
阿部 春代
1
1社)好善社
pp.208-212
発行日 2004年3月25日
Published Date 2004/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200175
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私は今,タイ国のコンケン県立シリントン病院(旧称:国立コンケン感染症病院)で仕事をしています.私の前には,ハンセン病は治癒したけれどその後遺症によって手足の傷をくり返す人,あるいは手足の変形が著しく,そのために社会生活が困難にならざるを得ない多くの人たちがいます.その人たちが私の看護の知識や技術による手助けによって手足の状態を良くし,困難な社会生活が少しでも容易になったらどんなに嬉しいことか.その喜びが私の力となり,タイ国のハンセン病を病んだ人たちのためのセルフケア・クリニックに関わり続けて,13年目になりました.
ふり返って,私かハンセン病に関わるきっかけは,病みながらも感謝を忘れずに生きる,日本のハンセン病療養所の方々との出会いでした.ちょうど29年前の春,私が看護学生のときです.そのときの入所者の方が今も,「阿部さん,タイで,私たちに代わって患者さんの足を洗ってくださいよ」と励まし,力づけてくれます.
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