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看護学生組織は,第二次世界大戦後の看護教育の発展とともに立ち上がりました。1955年に設立された九州看護学生連盟の呼びかけで1958年に全日本看護学生連合(看学連)が結成されています。当時は教育の質は非常に低く,安易な労働力として学生が利用されていた学校の状況や,一冊の本で何人もの非常勤講師の医師が教える中身のない授業だったことが,看学連発行の出版物に記されています。教育環境改善を求めて立ち上がった看学連でしたが,やがて当初の目的を見失い変質していくこととなります。施設の改善や実習の充実を要求するための厚労省との交渉など,看護学校の環境改善に向けて活動を行う一方で,浅間山荘事件に2人の看護学生がかかわる事態もあり,学生運動そのものとともに衰退していきました。
その後大きな動きのないまま数十年が過ぎましたが,1993年より「看護学生の主張を発信したい」という目的で活動するHAS(看護学生弁論大会)が10年に渡って活躍します。同じく1993年には看護学生の全国組織結成を目指すねんど(NENDO),1996年からANGELS,2001年からJNSA(日本看護学生会)など,約20年のうちに大小さまざまな看護学生組織が立ち上がりました。いずれの組織も看護学生同士の交流を目的としていましたが,これは90年代からの看護系大学・専門学校の新設ラッシュにより学生そのものの数が増えたことや,専門学校よりカリキュラムに余裕があり,学外に目を向けやすくなる大学の学生が増えたこと,インターネットの普及により学外の学生とつながりやすくなったことが理由ではないかと考えられます。しかし,結局どの組織も10年経たずに衰退・消失しています。
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