特集 コースポートフォリオで授業改善!
コースポートフォリオとは その概要とねらい
酒井 博之
1
1京都大学高等教育研究開発推進センター
pp.212-219
発行日 2015年3月25日
Published Date 2015/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663200118
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はじめに
近年,わが国の高等教育機関は,グローバル化が進展するなか,学生の学力や学習意欲の多様化,外部評価や説明責任といった社会的要請などに対応するため,個々の教員による授業改善から組織的な教育システム構築に至る,あらゆるレベルでの教育改善に取り組むことが求められるようになった。
しかし,「何をどのようにすれば,何がどのようになれば」効果的な改善がなされたといえるのか,頭を悩ませている教員も少なくないのではないだろうか。例えば,「学生による授業評価アンケートの結果や授業参観での同僚からのコメントを受けて授業を改善したいが,具体的に何をすればよいかわからない」「教務委員を任され,カリキュラムの見直しを命じられたが,どこから手をつけてよいかわからない」といった悩みを抱えている教員もいるだろう。
残念ながら,このような問いに明快に回答できる処方箋はないが,今回紹介するコースポートフォリオは,授業改善のための1つの手段として開発されたツールであり,大学教員が工夫を重ねながらその効果的利用について模索されてきたものである。そこで本稿では,コースポートフォリオとはどのようなものか,どういった取り組みがなされてきたか,その利点は何かなどについて概観する。
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