特集 外来通院患者に行う検査,計画的にきちんと実施できていますか?
ねらい
柳元 伸太郎
1
1東京大学保健・健康推進本部
pp.165-165
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.34433/dt.0000000043
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2017年の厚生労働省の推計では外来通院中の患者数は719万人とされている.その多くは,様々な慢性疾患の治療のための定期的かつ長期の通院とみられている.一人ひとりの健康管理は,すでに罹患している疾患についても,予防的に未病の段階から対応すべき状態についても,ともに重要である.法令に基づいて実施されている勤務先や自治体による一律の健康診断は一定の割合が受診していると考えられるが,これは主に生活習慣病や一部の癌などをターゲットとした画一的なものである.一方で,様々な疾患において長期的にはそれぞれの基礎疾患ごとに合併するリスクのある疾患が存在することも知られている.具体的には,例えば,糖尿病の患者では,糖尿病は糖尿病性網膜症のように直接的な合併症が知られるほか,心筋梗塞や脳梗塞などを発症するリスクが高まっているとされている.このほか,疫学的には癌を発症する患者も多く,糖尿病自体が癌のリスクとする考えかたも可能である.通常,糖尿病患者の場合は診断のために必要な検査を受け,その後は通院しながら血糖,HbA1cなど糖尿病のコントロールに必要な検査を受けることになるが,通院が長期にわたる場合には先に述べたような合併症も念頭においた一定間隔ごとのスクリーニング検査も必要な場面もあると考えられる.
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